狂気vs無感情
「てめえこの野郎ーー!」
おじさんの怒号が京王線新宿駅ホームに響き渡る。
駅について改札へと向かう僕は反射的に声のする前方に目をやる。
すると60くらいの小さなおじさんが20手前くらいの細身で長身の男に肩で何度も体当たりしているではないか。
こうなるとやられている側のリアクションというのも非常に気になるもので通りすがりに横目で確認。
するとなんと、若者は全く気にも留めていない様子でただただ無表情で横向きにしたケータイを見つめながら荒れ狂う小さなおじさんを払いのけて進もうとしている。
これには驚いた。
目の前を飛んでいる蚊を軽く払いのけるような余裕っぷりだ。
怒鳴るおじさんの言葉を聞いて分かったのは、どうやらその若者の割り込みにぶち切れてしまったようだ。
最近キレるおじさんが急増しているとよく耳にすることはあったがここまで綺麗な実例に出くわすとは。
一方で全く熱くならず、むしろ怖いくらい冷静かつ無情にその場を去った若者には少し感心すると同時にスマホに夢中になるあまり外界をシャットアウトする現代っ子の問題も垣間見た気がした。
2つの大きく異なる世代が持つ特有のクセとクセとが相容れない形で衝突した事件であった。
2017.10.04帰り道